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マズロー心理学入門―人間性心理学の源流を求めて

マズロー心理学入門―人間性心理学の源流を求めて

マズロー心理学入門―人間性心理学の源流を求めて

マズロー心理学入門―人間性心理学の源流を求めてを6月に入ってから夜中に少しずつ読み進めていましたが、今読み終えました。

率直に面白かったです。人間の欲を、自分の欲を、人間の本質的在り方を少しだけ理解できたような気がします。



なぜこの本を読もうと思ったのか

ECサイト運営という職についてから3年が経ちました。このブログを始めたのも同時期でしたね。

ECサイトの分析をしていて常に考えるというか考えざるを得ない最も重要なことの一つに「この店に来る人は何を求めて来ているのか」というものがあります。 何しろ商売である以上は需要の把握はやってしかるべき職務です。

しかし、昨今マーケティングという概念はマスからセグメントへセグメントからパーソナライゼーションへとパラダイムシフトを迎えており、 「この商品を買ったこのひとはどんな生活をしていて、どういう欲求をもとに店にたどり着いて、購入して、その後商品には満足してもらえたんだろうか」 という1人の人間に対するマーケティングが求められおり、所謂ペルソナ(ターゲットとする架空のユーザー像)まで踏み込んでいく必要があります。



欲求(ニーズ)の根源を知りたい

分析を主業務としているうちに大本を辿るクセがついてしまったのか 1to1マーケティングを実践しようと分析しているうちにそもそも人間という生き物は何を求めて生きているのかという根源的問いが浮かんできました。

経営学の書籍で見た(ような気がする)5段階欲求を思い出し、 その答えがマズローの著書に記されているのでは、とこの本を手にとった次第です。

※Kindleで読んだので実際には手に取っていないです(笑)が、やはり難しい言葉が出てくる本ならKindleの辞書機能がとてもありがたいですね。



書籍概要

  • マズローは病的な人間ではなく健康的な人間を研究対象として、心理学に新しい分野を切り開いた
  • 人間を成長する存在と位置づけて、成長する人間の過程を欲求の階層で表現した
  • 人間成長のゴールを自己表現と位置づけて、その特徴を明らかにした
  • 至高経験を科学の対象として、超越的な自己の可能性までもを掲示した
  • 理想社会ユーサイキアを想定して、その本質にシナジーを取り入れた

こう列挙すると歴史のテストみたいですね。



経営学で取り上げられている「マズローの5段階欲求」は部分的なものでしかない

まず一番驚いたのがマズローは一度も欲求の階層は5段階とは言っていないということ。

Googleで「マズロー」を検索すると5段階5段階と数多くの記事が出てきますが原典において5段階という表現はされていないらしいです。

欲求段階説(よっきゅうだんかいせつ、英: Maslow's hierarchy of needs)とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。

これは、マズローの欲求段階、自己実現理論とも称される。

ピラミッド状の階層を成し、マズローが提唱した人間の基本的欲求を、高次の欲求(上)から並べる[1]。

  • 自己実現の欲求 (Self-actualization)
  • 承認(尊重)の欲求 (Esteem)
  • 社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
  • 安全の欲求 (Safety needs)
  • 生理的欲求 (Physiological needs)

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引用:自己実現理論 - Wikipedia

まず、このピラミッド型の図はマズローが考案したものではないそうで、加えて言うならこれらの欲求の優先順位は必ずしも図のとおりではなく個人差があるとのこと。

変人と呼ばれる類の人はこのバランスが常人とは異なっていることが多いのではと個人的に推察しています。 例えば食べることも寝ることも忘れて人とのコミュニケーションを隔てて(低次の欲求の優先順位を下げて)自分の趣味や研究(自己実現の欲求)に没頭するなど。

5段階ではないという点については、1(生理的欲求)~4(承認の欲求)まではそのとおりですが、5(自己実現の欲求)は2つの階層に分けられる。つまり6段階であるらしい。



そもそもマズローの定義する自己実現の欲求とは

マズローはこのように述べています。

自分自身、最高に平穏であろうとするなら、音楽家は音楽を作り、芸術家は絵を書き、詩人は詩を書いていなければならない。

人は、自分がなりうるものにならなければならない。人は、自分自身の本性に忠実でなければならない。

このような欲求を自己実現の欲求と呼ぶことができるであろう。

そして後にこの「自己実現の欲求」は至高経験を頻繁に体験する者そうでない者の2階層があるとし、前者を「超越的な自己実現者」、後者を「超越的でない自己実現者」としています。

至高経験とは

できれば本書を読んでいただきたいのですが

  • 最も幸福と感じる瞬間
  • 対象の当為(事実の本質的側面)の認知

大雑把に言うと「自身が対象に対して心から感動し幸福感を得られる瞬間」のようなかんじでしょうか。

つまり最後の2階層は

[超越的でない自己実現者] 自分がなりたいと思うものになり、自分がやりたいと思うことをできる [超越的な自己実現者] 超越的でない自己実現者を実現した上で、至高経験を体験できる

となります。これが人間があるべき姿だとマズローは言います。



対象の認識を自動化する「ロボット」の存在が至高経験を遠ざける

マズローと親交のあったコリン・ウィルソンが「ロボット」と呼んだ人間の便利な機能。

人間は大人になるにつれて物事を自動的に認識できる機能が発達します。

  • 海は青い
  • 赤信号なら止まる
  • 鳥は空を飛ぶ

大人になった人間にとって全て当たり前のことです。その自動認識機能が「ロボット」です。

しかし、子供にとっては全てが新鮮で興味津々で楽しみ感動します。

「ロボット」は瞬時の定型的判断をするのに大変便利ですが、同時に子供の頃の感動するという感覚を鈍らせているのでしょう。

人生を謳歌している人々、つまり自己実現者の多くは「子供の頃の夢」を叶えているような人が多いのではないでしょうか。

本書の後半ではこのような自己実現者にあふれる社会 ユーサイキア についての概念や実現するために必要なシナジーについて記されています。

是非とも多くの人に読んでもらいたい本だと思いました。



読む前に求めていた内容が得られたか

余りあるほどの内容が詰め込まれていると感じました。

「この商品ページにくる人が何を欲するのか」という極めて表層的なニーズから「自分自身の在り方についての心理学」という潜在ニーズを掘り起こされた気分です。

人間は欲深い生き物とよく言われますが、より一層「人間の欲」について知りたくなりました。

この記事に書かせてもらった内容は本書の本質的価値の1%も表現できていないと思いますので、ここまで興味を持って読んでくださった方は是非本書を読んでみてほしいです。

この欲は自分が良いと感じたものを他者にも良いと思ってほしい、承認欲求に分類されるんですかね。現代風に言うならシェア欲とか?

マズロー心理学入門―人間性心理学の源流を求めて

マズロー心理学入門―人間性心理学の源流を求めて